陶土・釉薬について


陶土

 龍門の里から採取した粘土と町境から採取した岩とを混ぜ合わせ精製し粘土を製造しております。
粘土と岩とを混ぜ合わせる比率は次郎太が研究し生みだした調合法です。
 企業組合でも次郎太家の陶土調合を提供し組合設立時から私が辞めるまで用いられてきました。
収縮率が25%と全国の中でも高く日用雑器などを作るのに適した陶土であります。反面、粘土の性質上、薄く作ると
変形や簡単に破損してしまうためある程度の厚みを残し作るため物によっては重たく感じますが、割れにくく他の窯元と
比べたら丈夫であるなどの利点もあるおもしろい粘土であります。
 
釉薬
 次郎太窯は全国でも珍しく多彩な釉薬を用いる窯です。
特に釉薬においては、ただ調合法を受け継ぐだけではなく代々より良いものにするため努力と研鑽により改良されております。
昭和22年企業組合設立時から平成13年企業組合を辞めるまでの間、組合員(陶工)が使用していた釉薬は全て父・川原軍次(県無形文化財技術保持者)と私(川原輝夫)が調合し提供してきました。
次郎太(芳次)が改良した黒釉はその後、献上品を任されるほどの注目を浴び窯の顔となった釉薬です。
軍次(芳揮)が改良し復元した三彩は、昭和39年鹿児島県陶業第壱号の無形文化財に指定され軍次(芳揮)が技術保持者に任命されました。
輝夫(芳輝)が開発した藍釉は芳輝藍(ホウキアオ)とも言われフランス映画の青のようと評価され、現在新たな窯の顔となっている釉薬です。
他にも流し釉は、絵付けをしない代わりに釉薬の上からかけ模様にするために開発されたこの窯独自の釉薬で、この流し釉こそが秘伝中の秘伝であり次郎太(芳次)が玉流し、軍次(芳揮)が青流し赤流し、輝夫(芳輝)が湯呑用青流しなどを開発し現在も次郎太窯だけで守られております。
現在、一子相伝の釉薬は次郎太窯でその火を消さぬよう守られております。